司法書士法人ミライブログ
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相続放棄後の管理責任
2024年8月21日
ホームページをご覧頂きありがとうございます。
本店所長の益留と申します。
今回、相続放棄後の管理責任をテーマとして取り上げたいと思います。
改正前の規定では、相続人の不利益を回避するという相続放棄制度の趣旨に合致していないとの意見が多数あった様です。相続放棄後も最終的に相続財産清算人が選任されるまでの間、放棄者は管理責任を免れず、相続財産清算人選任の申立てを行う際に高額な費用の予納を要求されるなど放棄者の負担は少なくない現状でした。
2023年4月の相続法改正に伴い、相続放棄後の管理責任について民法第940条は
以下の通り改正されました。
「相続の放棄をした者は、その放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているときは、相続人又は第九百五十二条第一項の相続財産の清算人に対して当該財産を引き渡すまでの間、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産を保存しなければならない」 改正法では相続財産に属する財産を現に占有している相続放棄者だけに管理責任を継続して負わせることへ修正されました。
他方、相続財産を占有した者については占有を開始した以上、その財産を他の相続人や相続財産清算人に引き渡すまでは保存する義務を負うと規定しています。
これにより、相続放棄者にとって現に占有管理していない不動産及び動産に対する管理義務がなくなり、放棄者の負担は軽減されることとなりました。
また、改正後の民法940条に経過措置はなく、改正前に発生した相続・相続放棄にも改正後の民法が適用されることとなり、相続放棄者の不利益を回避するという相続放棄制度の趣旨に沿うかたちになりました。
相続放棄を検討中で詳細を確認したいなど、ご要望がございましたら、どうぞお気軽に弊所へお問い合わせください。